2025/8/24 万太郎谷井戸小屋沢右俣
Where there is a will, there is a way

土樽PAを見ながら林道を進む
万太郎谷沿いのほど広い駐車適地は手前で路面がひどく抉れていて、通過を躊躇うレベル
少し手前のスペースに戻って車を止める
朝焼けは見えないが、薄雲が高く広がっている
何とか天気は保ちそうだ
あとは、沢のコンディション次第
1週間前の記録では、濁りとヌメリが酷いとあった
上流の雪渓や直近の雨量によってコンディションは変わる
それが沢のオモシロい所でもある
井戸小屋沢右俣は数年前に増水で早々に撤退、転戦を余儀なくされたルート
果たして今回はどうか

メンバーはnksさん、skmさん、tkmさん
公募から山行日までの時間が少なかったので行先はsakチョイス
だけどメンバーにはルーファイ能力向上を着眼点に先頭を歩いてもらう予定
楽しいだけじゃダメなんです
まして、後を追うだけの山には学びがない
自分の力で径を見出す
なにより山人としての成長を重視する
そいういうヤマを乗り越えて行ってほしい
林道を進み、下山予定の吾策新道入口を見送る
この先で左の谷へと導かれていき、入渓
最初の堰堤手前に出る

心配していた水量は、ほぼ平水
しかし、確かに少し濁っているように見える
二つ目のスリット堰堤は多量の流木が堰き止められて、越えるのに苦労しそう
ここはskmさんの見立てで左岸を巻く
堰堤上から梯子の鉄杭を支点に懸垂下降という案もあったけど、ここは巻き下ったほうが早い
沢登りをするにあたって技術やテクニックは必要
それを身につけていればどんな場面も対応できるけど「安全で早く容易に」対応できる場所で時間のかかるテクニックは使わなくてもいい
堰堤を越えるとまるでダムの湖尻のように泥が堆積している
これが濁りの正体か
ここから上流は幾分濁りも減るが、流れの途中に留まる流木がそこここに目立ち、荒れた印象

途中の滝場で先頭を行くskmさんがおもむろに泳ぐ
そして、みな観念したかのように泳ぐ
暑い夏
この沢旅の前半戦、ウォーターパラダイスの開幕だ
目指せ!アルパインスイマー!
万太郎谷をチョイスした意味を受け取っていただきたい
一度泳いでしまえば、あとは躊躇もなくなる
積極的に泳いで滝に取付く

岩畳のナメをすべる樋状の流れにウォータースライダーもできそうだが、水勢強くちょっと怖い
魚止メ滝は左をヘつって、最後は少し泳いだら左の岩をひと登りで通過
アレコレ言いながらどこを行くか話し合う
気付いたことを言葉にすることの大切さ
伝えようとする気持ちが交錯する
仲間と行く沢登にはこんなシーンがよく似合う

関越トンネルの換気口を見上げる
自然と文明
文明ってスゲぇなぁという想いと共に、このコントラストに唖然とさせられる
大釜は右壁を容易に登れるんだけど、nksさんとtkmさんは果敢に水線へとトライ
流れの速さに耐えながらも登っていく
いいねぇ、楽しんでるねぇ

オキドウキョの流れを見ると、靄る瀞場
さて、泳ぎますか

前半は右岸から左岸に移るところで少しだけ泳ぎ
中間部はnksさんがトライしてみるがちょっと大変そう
ということで左岸階段状を上がって軽く巻く

そして後半が見せ場だ
tkmさんが切り込んでいく
15mくらい泳いで一段上がり、最後の滝は滝裏を行く
日常の延長線上に実践がある
そしてココ一番という場面で出るのが、本性
本来の自分、性根だ
日常をどのような心持で相対しているか
そこをどのように鍛えているのか
それが問われるのだ

泳ぎ着いた先の滝を見定める
轟轟と流れる滝の中に身を投じる
そこには、それを越えて叫ぶ自分がいた

ここから先は流れの透明度も高まる
陽に輝く水面が美しい
4m滝は左を小さく巻く
次の3mは左の壁を登る
そして右に井戸小屋沢が出合う
小滝が続いて、泳いだり登ったり小さく巻いたりを繰り返す
開けたところで尾根がまだまだ遠く高く聳える
果てしない感じがいい
明るい花崗岩の小滝をそれぞれに閃くルート取りで越えていく
懸念していたヌメリも気になることはなく快適に進む

雪渓の詰まった小障子沢を正面に井戸小屋沢は右に折れる
最初の滝は左岸をヘツる
CS滝は右岸を軽く巻き、ズンズン小滝を越えていく

オキ障子沢を過ぎるころには陽も出て少々暑いので、小さな釜を水風呂にして涼む
20m大滝は左岸の乾いたところを登る
この後も小滝を快適に越えていくと井戸小屋沢の本谷(左俣)
ここを右に行くのだが、沢は傾斜を増していく

途中、手足の細かい滝が幾つか現れる
乾いた岩を登るなら不安ないが、水流際はヌメリがあり少し怖い
時にお助け紐を出して、肩がらみで確保する
バックアップ支点は笹に取る

こういった山での引き出しを実践で伝えたい
モノにするかどうか、あとは受け取る者次第だ
Where there is a will, there is a way
-意志あるところに道は開ける-
山に向かうために必要なこと
その資質はそういうことだと思っている

次第に流れは細くなり、消えそうなところで水を確保
そこから上はボサのかかる水線をひたすら上がる
先頭で「ヤブコギだー」とnksさんが言う
いえいえ、これはヤブコギではなくって沢筋を登ってるだけですよ、と嗜める

そして本当のヤブコギもなく吾策新道にポンと出る
谷川の主稜線は生憎ガスがかかって見えない
万太郎山に行く人は誰もおらず、靴を履き替えたら下山にかかる
登山道があるという幸せを享受する

途中、陽が出てきて蝉が鳴き始めるが、森の中なので涼しく快適
淡々と下って行けば、今朝通過した舗装道路に出る
支度を済ませて、車に乗り込むとフロントガラスに雨が落ち始める
「雨に降られずによかったですね」と、tkmさんが言う
「もちろん計算通りです」
私はしたり顔で言う
The courage to declare coincidence as necessity.
-偶然を必然と言い切る、勇気-
日常にどのような心持で相対しているか
そこをどのように鍛えているのか
それが問われるのだ
sak
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