冬の出来事

午後の陽光
蒼氷も、やがて滴り輝きながら解けていく
そうして冬の終わりを予感する
この春、末子が社会人となり、私は家督を継ぐ
父に気遣いながらも、自活する気力があるのだからまだ大丈夫なのだろう
老いたのは父ばかりではなく、私とて同様だ
そして、君に病が見つかった
それがこの冬の出来事だった
2025/12/14
八ヶ岳南沢

今シーズン最初のアイスクライミング
nksさん、sgmさん、tkmさん、sakの4人
体の使い方、レスト体制のおさらい
そして、tkmさん待望のアイスクライミングデビュー
南沢大滝と小滝で登り込み
美濃戸まで車で乗り付けている安心感
皆、薄暗くなるまで登り込んだ



これまでの積み重ねを体が思い出してくる
tkmさんも楽しんでくれている
この冬はようやく目標に触れることができるのか
そんな予感をさせてくれる、好い日だった
2026/1/18
八ヶ岳広河原沢見晴らしルンゼ
どうやら、今年は広河原沢が良いみたい
ならばと、見晴らしルンゼを計画した
舟山十字路も盛況で何とか駐車場所を確保
広河原二俣も前日から訪れている面々のテントが散見
しかしながら左俣へ向かうのは我々のみ
皆、右俣へと向かっていく
入渓点で身繕いをしていると、1パーティやってきて左俣の大滝まで行くとのこと
そして終日、見晴らしルンゼは我々のみであった

左俣から見晴らしルンゼに入ると一から五まで滝がある
まずは日陰で氷結状態のいい二の滝をsak、nksさんでお互いリードとフォロー

次に四の滝
こちらは日向で眩しいくらい
反面、氷は溶け加減
小さいながらも傾斜のある2段目の滝を登って、懸垂で戻る

最後に五の滝はお互いフリーで抜けて、御小屋尾根へ
傾斜という意味では少し物足りなさを感じたものの、様々な滝を登り巡ることができる素晴らしい場所だ
2026/1/25
西上州・相沢奥壁大氷柱
当日4時集合
ちょっと早めの出発

相沢大氷柱は高矩があるので、一人登るのに時間を要する
出来るだけ早めに取付きたかった

結局は他パーティーとの協調も含めて一人1本だけだったが、皆満足の様子
nksさんは去年エイプリフールに来た時、相沢大氷柱を「登れる気がしない」と言っていたけどトップロープながらノーテンで抜けた
tkmさんも無事トップアウト
sgmさんは安定したクライム
他パーティーとのコミュケーションも取れて充実した一日となった
2026/2/1
西上州・仔犬殺しの滝
相沢登山口からさらに林道を進む
さすがにデリカは悪路走破性が高く、林道が土砂に埋まった場所まで入ることができた
ここから1時間ほどのアプローチ

仔犬殺しの滝を一段上がった所を起点として、トップロープ支点を右の立ち木に取れば50mロープで張れる
nksさん、tkmさんの3人、高回転率で登り込める
各々ルートを変えて4本ほど登り込む


加えてアックス振り方やレスト体制の確認
アイスクライミングができる場所とタイミングは限られている
時間が許す限り、無駄なく取り組むことができた
2026/2/8
足尾・松木沢無名ルンゼ
今日は行くべきかどうか悩んだ
関東地方に大雪警報が出たからだ
茨城からもアクセスが良く、前日の天気読みで雪が少なそうな足尾にした
しかしながら朝のラジオでは日光・足尾に大雪警報を発していた
それでも、結局は行くんですけどね

15センチほどの積雪をものともせず、tkmさんのデリカは走駆する
銅親水公園に着くと雪も上がる
すでに駐車場には数台の車
1パーティーは丁度出発するところ
そのほか、前日から入ったパーティーのテントがジャンダルムを望むあたりに張られていた
昨日ウメコバに行ったパーティーと情報交換
黒沢は数パーティー入っているらしい
駐車場で見かけた5人も黒沢へ向かう堰堤で準備中
ならばと夏小屋沢に向かうと順番待ちが3組

ルートというよりは傾斜に強い場所で登り込みたかったので無名ルンゼに向かう
さすがにマイナーなためか誰もいない
距離はそれほどではないが上部は立っていて、幅も狭い
足の置き場を吟味しながら立ちこむがリードではアックステンションを交えながらとなった

tkmさんは今までで一番難しかったらしい
それでも慣れてきたら、スタンスの少ない滝の左側をトップアウト
トップロープならこの傾斜も不安なく行ける
レベルアップを実感できる登りとなった
2026/2/14
日光・雲竜渓谷友不知
雲竜渓谷に行くのは少々躊躇があった
なぜか
そう、氷瀑観光で大勢のハイカーが訪れるからだ
地味でひと気のない場所を好む私の嗜好に合致はしないのだが、やはりアイスクライミングに取り組む上では避けては通れない場所だろう


2月の冷え込みが一段落し、最近は2月と思えないほど暖かい日が続いた
燕岩の氷柱は一部崩壊し、その残骸が転がっている
雲竜瀑を見物していつの日か登ることを夢見ながら、友不知ゴルジュ左岸へ
このエリアも上部は氷結しておらず、岩が露出
騙し騙し上に抜けて、あらかじめ見定めておいた傾斜のある場所にトップロープをかけて登り込む
nksさんも安定した登り
やはり、場数と情熱は成長の特効薬だ

午後の陽光
蒼氷も、やがて滴り輝きながら解けていく
そうして冬の終わりを予感する
すぐ治療が必要なわけではないのだから
そう言う君に不安はあったと思う
ただ何も言わずに私を送り出してくれた
目指す場所がある
過ぎ去る月日は、誰にとっても有限だ
もちろん、二人にとって残された月日は多くはないだろう
この冬はそれと向き合いたかった
2026/2/21
奥鬼怒・野門沢・伏龍鳳雛
鹿島槍に向けて、最後の調整として奥鬼怒北面を選んだ



激下りがあるにしろ、アプローチは1時間弱と至便
伏龍は峡谷を抜けた先に控える氷瀑
素晴らしいロケーションに見惚れる
sgmさんリードでnksさんとsakを引き上げる
50mロープで滝身左の灌木+スクリューで1ピッチ
2ピッチで残りの1段目と2段目を登る
下降は落ち口の右岸壁にある懸垂支点で20mくらい下るのだが、右岸の小高い台地に乗って立ち木でピッチを切る
そこからは50m下降で取付きに戻れた
記録では60mロープでの登下降記録が多かったので、少し心配していたがなんとか50mで対応できた
この立ち木を使ってロープを張って登り込む
トップロープの気軽さもあってそれぞれのルート取りで立っているところを行く
sakは途中で不意にアックスが外れてしまい、テンション
アックス引っ掛け登攀は、まだまだ要修行といったところか

鳳雛は緩傾斜ながら発達も良く、気持ちよく登れる
次週は鹿島槍
あとは天気が晴周期となることを願うのみだ
2026/2/27-2/28
鹿島槍ヶ岳・北壁主稜(中退)

結果から言えば、遠かった
目指す壁は霧に隠され、拝むこともできなかった
それでも手に届くところにある、そう思える実感
鹿島槍スキー場の駐車場から大谷原
そこから天狗尾根はオールラッセル
さすがに体力強度を要し、天狗ノ鼻に着くころ日暮れとなった



ここまでは、以前天狗尾根をトレースしたこともあり既知の範囲だ
高度を上げるに従い次第にガスが濃くなる
眼下に見えていた大町の街はいつしか消えた
水を作って簡素な食事
明日のタクティクスを確認し、3時起床で状況判断することとした
夜半から断続的に風がテントを揺らし、時折目を覚ました
3時、寝袋に潜りながらsgmさんに意志確認
この風で一時停滞で意見は一致
明るくなるのを待って、次なる策を練ることとした

朝食をとりながら、今後の対応を協議
依然風は強く、視界もない
疎らに降り落ちる雪は降雪か、舞雪か
幸運なことに電波が繋がり、天気予報を確認できた
今日は午後になってから晴れ
明日は冬型が強まり、今より強い風が吹くだろう
今日を停滞として明日勝負
と言いたいところだが、不安は残った

生きて山を成せるように
共に越えられるように
不安とどう向き合うのか
撤退にも価値はある
あとはタイミングの問題だ

-春-
庭に檸檬の苗木を植えた
「庭に植えるなら、檸檬がいい」
そう言ったのは君だった
苗木が実をつけるには数年かかるらしい
君のヤマは初夏に始まる
お互いの山を生きて成せるように
そして実った檸檬を二人で噛む
私が密かに課した数年後の目標だ
sak
↓動画も
































































































































